中小企業は知っておいて損はない。令和6年度補正予算案!新設補助金と従来補助金からの変更点
2024年12月6日に、2025年度(令和6年度)の補正予算案に基づき中小企業製造業向けの新たな補助金制度が発表されました。
これらの制度は、中小企業の成長や生産性向上を支援することを目的としています。
以下に、主な補助金の概要と変更点をまとめました。
これから、設備投資などの予定がある方は是非、補助金の活用をご検討ください。
これまでの補助金からの変更点を知っておこう!
新設補助金とこれまでの補助金の変更点まとめ
目次
1. 新設される補助金の概要
2025年度の補正予算案では、中小企業の成長を促進するため、以下の新たな補助金が創設されました。
これに伴い、新事業進出補助金は従来の「事業再構築補助金」に代わる補助金になりそうです。
概要他 | 備考 | |
新事業進出補助金 【既存基金の活用【1500億円規模】 | ・概要:中小企業・小規模事業者の成長につながる新事業進出・事業転換を重点的に支援するための新たな支援措置を創設 ・要件 :企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦(新規性)や賃金要件等 ・補助対象経費:建物費・機械装置費・システム構築費・技術導入費・専門家経費等 | ・事業再構築補助金の基金を活用して、実施される見込み。 ・従来の事業再構築補助金と類似 ・予算額が、過去の事業再構築補助金に比べて小さい(2000億円→1500億円規模) |
中小企業成長加速化補助金 【生産性革命推進事業3400億円の内数】 | ・概要:意欲ある中小企業・小規模事業者の飛躍的成長を実現するため、売上高100億円を目指す中小企業等への設備投資や中小機構による多様な経営課題(M&A・海外展開・人材育成等)への支援等を創設 ・要件 :売上100億円を目指すビジョン・潜在力、賃金要件等 ・補助対象経費:建物費・機械装置費・ソフトウェア費・外注費・専門家経費 | ・中堅・中小企業の経営基盤の強化・成長の支援」として、「売上高100 億円超の中小企業を創出」および「中小企業の生産性向上と成長を加速」の一環の施策と思われる。 ・当補助金は既存事業の拡大による成長にも活用可能な補助金と考えられます。 |
新事業進出補助金
中小企業や小規模事業者が新たな事業分野への進出や事業転換を行う際に支援を受けられる補助金です。
補助対象経費には、建物費、機械装置費、システム構築費、技術導入費、専門家経費などが含まれます。
中小企業成長加速化補助金
売上高100億円を目指す中小企業等の設備投資や、多様な経営課題(M&A、海外展開、人材育成など)への支援を目的とした補助金です。
補助対象経費には、建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費などが含まれます。
2. 各種補助金の概要
令和6年度補正予算案「中小企業生産性革命推進事業」3400億円の内数
補助金 | 概要 | 補助率 |
ものづくり補助金 | 製品・サービス高付加価値化枠について従業員区分を見直し、21人以上の中小企業を対象に補助上限を引上げ、賃上げ動向を踏まえ、賃上げ要件、運用等を見直し | 最低賃金近傍の事業者に対する支援として、補助率を1/2→2/3 に引上げ 等 |
IT導入補助金 | セキュリティ枠の補助上限引上げ・要件見直し、汎用ツール・導入後支援の補助対象化 | 最低賃金近傍の事業者に対する支援として、補助率を1/2→2/3 に引上げ 等 |
小規模事業者持続化補助金 | 経営計画の策定に重点化し、枠の整理等、制度を簡素化(通常枠、創業枠等に再編等) |
ものづくり補助金
中小企業が新製品や新サービスの開発、生産プロセスの改善を行う際に支援を受けられる補助金です。
2025年度の主な変更点は以下のとおりです。
- 申請枠の統合: 従来の「省力化オーダーメイド枠」や「成長分野進出枠」は廃止され、「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の2つに統一されました。
- 補助上限額の引き上げ: 従業員数に応じて補助上限額が引き上げられました。
カッコ内は、従業員数補助上限額大幅賃上げ特例適用時
製品・サービス高付加価値化枠
5人以下 750万円(850万円)
6~20人 1,000万円(1,250万円)
21~50人 1,500万円(2,500万円)
51人以上 2,500万円(3,500万円)
グローバル枠
3000万円(3100万円~4000万円) - 収益納付の廃止: これまで補助金を受けた事業で収益が発生した場合、その一部を国に返納する「収益納付」が義務付けられていましたが、2025年度からは廃止される見込みです。
※収益納付とは補助事業で収益が出た場合は、一部または全額を返す必要性がある制度のことです。
つまり、今まではものづくり補助金を活用して、儲かったなら儲かった分返還してね。という内容だったのですが、2025年度からは儲かっても補助金は返さなくていいよ。とういことになりました。
概要は以下の通りです。
- 補助対象:新製品・新サービス開発、生産プロセスの改善
- 対象業種:製造業、サービス業など
- 補助上限額:最大4,000万円(大幅賃上げ特例適用時)
- 補助率:
製品・サービス高付加価値化枠 中小企業1/2、小規模事業者2/3
グローバル枠 中小企業1/2、小規模事業者2/3
令和6年度補正予算「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の概要
IT導入補助金
中小企業がITツールを導入する際に支援を受けられる補助金です。2025年度の主な変更点は以下のとおりです。
- セキュリティ対策枠の補助上限引き上げと要件見直し: セキュリティ対策に関する補助上限が引き上げられ、要件も見直されました。
- 汎用ツールや導入後支援の補助対象化: これまで対象外だった汎用的なITツールや、導入後のサポートも補助対象となりました。
- 最低賃金近傍の事業者に対する補助率の引き上げ: 最低賃金付近で従業員を雇用している事業者に対して、補助率が1/2から2/3に引き上げられました。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者が経営計画に基づいて行う販路開拓や業務効率化の取り組みを支援する補助金です。2025年度の主な変更点は以下のとおりです。
- 経営計画の策定に重点化: 経営計画の策定がより重視されるようになりました。
- 枠の整理と制度の簡素化: 通常枠や創業枠などに再編され、制度が簡素化されました。
3. 賃上げや注意点について
2024年度から増えてきていましたが、2025年度の補助金制度では、賃上げ要件が引き続き重要なポイントとなっています。
特に補助率や補助額が優遇される「大幅賃上げ特例」が注目されています。
賃上げ要件のポイント
- 賃金総額の引き上げ
対象期間内に事業所全体の賃金総額を一定割合以上引き上げることが求められます。引き上げ率は補助金の種類によって異なりますが、通常は年3%以上が目安です。 - 最低賃金の一定割合以上の賃金設定
各都道府県の最低賃金に比べて一定の水準以上の賃金を支払う必要があります。
注意点
- 要件未達の場合の返還義務
賃上げ要件を満たさない場合、補助金を返還する義務が発生する可能性があります。事前に計画をしっかり立てることが重要です。 - 申請時の計画書作成
賃上げ計画が実現可能であることを示す書類が必要です。賃金改善のシミュレーションを行い、計画が合理的であることを証明しましょう。
4. まとめ
2025年度の新設補助金は、中小企業の設備投資や事業転換を強力に支援する内容となっています。特に以下の点がポイントです。
- 新設された補助金の柔軟性
新事業進出や成長加速に向けた補助金は、これまで以上に多様な経費を対象とし、中小企業の経営課題に応じた支援を提供します。 - 既存補助金の進化
ものづくり補助金やIT導入補助金では、補助率や補助額が引き上げられ、賃上げ要件への対応が重視されています。 - 賃上げ要件の強化
補助金を受ける際の要件として、賃上げ計画がますます重要になっています。計画の具体性や実行性を慎重に確認することが成功の鍵です。
これらの補助金を活用するには、適切な申請準備が必要です。
事業計画の策定や経営資源の確認、さらに専門家のサポートを受けることで、スムーズな申請が可能となるでしょう。
特に、中小企業にとっては資金調達の大きなチャンスですので、これを機会に事業拡大や成長戦略の一環として活用してください。
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